傑作理系ミステリーとして名高い1作。
僕はド文系というか数学アレルギーなんでちょっとこの本を避けていたんですけれども、
実際に読んでみると詰まるところは全く無く、意外と僕でも楽しめました。
あらすじ
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。
Amazonより引用
今までで一番イケてる密室と死体
あらすじに書いている通り、この話には両手両足が切断されたウエディング・ドレスをまとう死体が登場します。
この死体、見た目のインパクトもさることながら発見時の状況がとてもドラマチック。
今までミステリーは色々読んできましたが、その中でも一番死体と密室の設定がイケてます。
初めて読んだときはその緊張感と状況の不可解性に思わず息を吞みました。
綱渡りのような超トリック
クライマックスで明かされるトリックは色んな意味でギリギリです。
ミステリーのトリックとして扱っていいかどうかという意味でもギリギリ、根本的に成立するかどうかという意味でもギリギリ。一歩間違えたらバカミス呼ばわりです。
ただ、この小説が理系ミステリーと呼ばれる所以となった数学的な要素や、
哲学的な深さを感じさせる登場人物の会話、複雑な舞台設定など。
ありとあらゆる要素がクライマックスで明かされる超トリックのために構成されていて、種明かしに到達する頃には、絶対に納得せざるを得なくなってるんですよね。
「その前提に納得してるなら、この結末も受け入れないといけない」みたいな。
作者の構成力の高さと知識の深さがなければ作ることが出来なかった作品でしょう。
並の人間には同じトリックを思いついたとしても、ここまでの傑作には仕上げられなかったんじゃないかと思います。
テクノロジー小説としても先鋭的すぎる
この小説、ミステリー的な面白さもさることながら、架空の最先端テクノロジーを駆使して仕事をする人達の姿も面白いんですよね。
たとえば仕事をチャットで打ち合わせしたりとか、音声認識ソフトを使って扉の開閉や電灯のオンオフを管理したりとか。
今だとこれぐらいあまり珍しくないんですけども、これビックリするのが96年に刊行されてるんですよね。
Windows98も出てきてないような時代に書かれた小説にしては今読んでもテクノロジー部分に違和感がなさすぎるんですよね。
そしてそれを使いこなす人々の価値観もあまりに2021年に生きる我々と近すぎるんですよ。
読み終わるまで2005年頃に書かれたんだと思ってたぐらいです。
作者頭良すぎ。
アニメ、ドラマ、漫画、そしてゲームにもなった伝説的な作品です。
ミステリー好きじゃなくとも、読んで損はないと思います。
毎日更新しているのですが、読者登録してもらえるとモチベにつながります!!
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