小説のハウツー本としてかなり人気を博しているらしいです。
概要
エンタメ小説界のトップを走り続ける著者が、作家になるために必要な技術と作家としての生き方のすべてを公開。受講生の作品を題材に、一人称の書き方やキャラクターの作り方、描写のコツなど小説の技術を指南。さらにデビューの方法やデビュー後の心得までを伝授する。
文庫版特別講義ではウェブ小説やライトノベルを含めた今の小説界を総括。いかにデビューし、生き残っていくかを語り尽くす。エンタメ系小説講座の決定版!
Amazonより引用
初心者向けのハウツー本ではない
僕は年に1回ぐらいサラリーマンをやめて作家デビューを目指したくなる(正確に言うと不労所得が欲しくなる)心の病にかかっているのですが、その病が何度目かの発作を起こしたときに勢いで購入した本です。
中身は今日から小説を初めて書くんです!!」というビギナー向けのハウツー本というよりも、そこそこ書き慣れてはきたんだけけれども何が面白くないのか分からないといった中級者向けの1冊でした。
具体的なテクニックから小説家のギャラまで暴露
書かれていることは、小説における視点の配置の仕方から、会話文で人を惹きつける方法、情景描写が薄っぺらくならない秘訣等々。小説を書いたら必ず詰まるポイントを深く、濃く掘り下げてくれています。
そしてこの本が教えてくれるのは技術論だけではありません。
デビューしてから何作目までにヒットを出さないといけないか、デビューしたての小説家の年収はいくらか、編集者との向き合い方はどうするべきか、現在の出版社の実情はどうなっているか、といったような絶対に他の本では書かれていない(というよりも恐らく書けない)ような内容まで暴露していることです。
小説って最終的には才能だよ
但し、小説とは本から吸収できるような論理や技術だけで書けるものでは無く、閃きやセンスも必要とされる芸術的なシロモノです。
この本でも後半に行くにつれて「それは大沢在昌以外には使えないのではないのだろうか」というような話になっていき、なんと最後の方には「才能が無ければ小説は書けません」という身も蓋も無い話までしてしまっています。
これは大沢在昌が小説を書くことに対して、本気で言語化しようとしたからこそ出てきた言葉であるように思うし、表現のプロである小説家が行き着いた言葉が「才能」なんだと思うので、逆に物凄く重みがある言葉のように感じました。
読者としても作家の手の内を知るのは無駄じゃない
小説を書きたい人にとってこの本が役立つのはもちろんのことですが、個人的には小説を読む人にもこの本は役に立つと思っています。
というのも、小説の構造や作家の手口を全部暴露してくれているので、今後小説を読む際に違った視点で楽しむことが出来るようになるからです。
「登場人物がこういう行動を取ったということはつまり作者的にはこう考えてるんだな……」とメタ的に作品を楽しめるようになれば、小説を読むのがより一段と面白くなるんじゃないでしょうか。
作家じゃない人でも、手に取ってみたら発見があるやもしれません。
コメント