おっさんになっても夢を追いかける前に、知っておかないといけない現実の話
今(20/10/29現在) この本アマプラ会員だとキンドル版が読み放題です。
アマプラの読み放題本は結構入れ替わり早いので読みたい人はお早めに。
個人的にかなりの大当たり本です。
著者について
著者は為末大。ハードル種目のオリンピックメダリストでしたが2012年に引退。その後はスポーツ選手出身では珍しく、思想家や社会評論家のような活動をしているイメージです。そうして付いた異名は「走る哲学者」。
5年以上前にツイッターで見かけて「ほーん。頭良い人だなあ」なんて、ぼんやりと思った記憶があります。
概要
耐える人生か。選ぶ人生か。
前向きに「諦める」ことから、自分らしい人生が開けてくる。諦めることは、逃げることにあらず。
与えられた現実を直視し、限られた人生を思い切り生きるために、
よりよい選択を重ねていくことこそが「諦める」ことの本質である。
オリンピックに3度出場したトップアスリート・為末大が、
競技生活を通して辿り着いた境地。
Amazonより
感想
とてもいい本でした。
日本では過剰に称賛されがちな『夢を追い続けること』にメスを入れ、諦めることで開ける道があることを示した本です。
無論、「お前らの努力が実るわけがない」という話ではなくて、「世の中には実らない努力、叶わない夢があることを直視しよう」「人にはどうしたって向き不向きがある」「自分の限界を一度受け入れたうえで、適切な戦略・戦術を取ろう」という内容です。
「夢は諦めなければ叶う」という言葉は美しいですが、その言葉がどこまで実態に沿っているものなのかは一度考えなければなりません。
ツイッターでもたまに見ますからね。ストVでプロゲーマー、あるいはプロゲーマーに近い存在になろうと意気込んでいる人を。
夢を見るのは自由ですが、夢を見せてくれている人は決して責任を取ってくれません。「続けてほしい」「頑張っている姿を見て元気をもらいました」と言ってくれた人も同様です。
夢に溺れる前に一度こういった現実的な視点の本を読んで、バランスの良い考え方を持つと見えなかったものが見えるようになるかと思います。
最後に、あまりにも正論すぎてグゥの音も出ない箇所を引用して終わろうと思います。
割り切ったうえでやめないことを自ら選択しているケースについては、他人がとやかく言う筋合いはない。好きなことをしているのが幸せだというのであれば、成功を追求することよりもむしろ、取り組むことそのものに意味がある。
一方、割り切っていない人の考え方はこうだ。
「私にはこれしかない。今以上に努力を続けていれば、いつか成功できるはずだ」
努力すればどうにかなるという考え方だと、成果を出せないままズルズルと続けてしまいかねない。何かを達成したいという欲求があるのなら、自分が好きなだけでなく、自分に合った得意なものを選択するだろう。
「今まで一生懸命やってきたし、続けていれば希望はある」
こう考える人は、もしかしたら自分を客観視できていないのかもしれない。一生懸命やったら見返りがある、という考え方は、犠牲の対価が成功、という勘違いを生む。すべての成功者が苦労して犠牲を払っているわけではなく、運がよかったり要領がよかったりして成功した人のほうが実際は多いのではないだろう
「私は諦めずにやり続けました。だからここに立てたのです」
実際は、勝者の背後には数えきれないほどの敗者がいる。多くの人は、がんばったのに成功しない敗者側に回らざるをえない。
「やめなかったからこそできた」
こう主張する少数派の言葉に嘘はないが、現実の社会においては、はるかに敗者のほうが多いという事実はわかっておくべきだ。自分がやってきたことを否定するのは難しい。自分が成功しない根拠となるような情報には、触れたくないのが人情だ、しかし、続けることそのものが目的でないのなら、意識してでも現在の自分に対するネガティブな情報を入れなければならない。
為末大.諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない(Kindleの位置No.552-558)..Kindle版.
決して、人の希望を奪うような本ではないです。
自分を見つめ直すきっかけにもなるかと思います。
是非ご一読を。アマプラ会員なら無料で読めます。
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