この本は、『第2の女性』の美しさや聡明さをヒラサワの言葉で綴った本です。
一応アマゾンのリンク載せますけれども、絶版本なんでべらぼうに高いです。
図書館で探せばあると思います。見つかったときは、その場で読まずに一度家に持ち帰って読むことを勧めます。
著者について
著者の平沢進は1979年にP-MODELとしてデビュー以降、2020年の現在も現役で活動を続けているミュージシャンです。
もともとはテクノ系の音楽を作っていたのですが、ソロデビューをきっかけに作風を大幅にチェンジ。以後は『平沢進の音楽』としか言いようのない作品を作り続けています。
恐らくですが、平沢進の曲で一番有名なのは長州力のテーマソング。次に有名なのはベルセルクのテーマソングでしょうか。
このブログでも何回か平沢進については取り上げています。
概要
平沢進、初のフォト&エッセイ集。「SP-2」とはタイ語の「サーオプラペーッソーン」を略した平沢進による造語で、直訳すると「第2の女性」という意味。
本書は、14年間におよぶ平沢と「SP-2」たちとの交流で体験したさまざまなエピソードを連ね、彼女たち自身の言葉も随所に盛り込みながら、彼女たちの魅力の秘密について語る。平沢進自身が撮り下ろした総勢23名の73点にも及ぶ写真は、長年の交流があるからこそ捉えることができた、美しく貴重なショットばかり。
これまでメディアが伝えてきた「ニューハーフ」とはまったく異なる「SP-2」の姿がここにある。
Amazonより引用
著者からのコメント
人間に戻りたい人は読んでください。心的過程を生きる場が無いと思っている人は読んでください。マイノリティーとしてクサっている人は読んでください。休息が必要な人は読んでください。問題解決の姿勢が見つからない人は読んでください。世界は敵だと思っている人は読んでください。美しく生きたいと思う人は読んでください。憤懣と先入観の牢獄から脱出したい人は読んでください。生きる力が欲しい人は読んでください。親切になりたい人は読んでください。読み方はあなたにお任せします。
Amazonより引用
感想
平沢進の書く歌詞と言えば難解で分かりにくいという印象を持つ人が多いと思います。このブログでもアルバムの歌詞考察記事なんかは定期的に読まれているようです。
そんな平沢進の書く文章はどうかと言うと決して読みやすくはないです。これは文章が下手というよりかは、彼の秀でた感性で受け取った感覚を可能な限り言語に”翻訳”しているために読みにくくなっているような印象です。
『SP-2』はヒラサワがタイで受けた驚きと感動を読者にそのまま届けたいと思って作られた本なので、ヒラサワ独特の言い回しが自然と多くなっています。理解にはある程度の慣れが必要です。
僕はこの本を買ったのが5年ぐらい前なんですけれども、そのときは読んでいてさっぱり意味が分からなくて頭を抱えていました。今は本の感想を書くようになってちょっとは脳が磨かれたのか、結構面白く読むことが出来ました。
ヒラサワが『SP-2』と呼ぶタイのニューハーフは、その全てが聡明で、美しく、尚且つ母性を兼ね備えた存在であったと言います。それはニューハーフが差別の対象になりがちだからこそ、本来の女性よりも見た目も、仕草も、心も美しくあろうとした彼女たちの努力の現れだったようです。
その本来の女性をも超越しようとする彼女たちの姿勢に敬意を表し、ヒラサワは女性でも男性もでもない第3の性という意味を込めて、『SP-2』という呼称で彼女たちを呼ぶようになりました。
しかし、非常に残念なことにヒラサワが愛した『SP-2』の精神は、現在のタイでは既に失われているようです。
王者クッカイのハグで心は大洗浄された。善きSP-2大終了の鐘が鳴った。この国にクッカイとサンディーを継ぐ者なし。
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) 2015年2月24日
ミゼラブル嬢の鐘で始まり、クッカイの鐘で終わった、長い長いSP-2国の旅もあと数時間で終わり。感謝を込めて失われたSP-2国を発つ準備を始めます。
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) 2015年2月24日
ツイートに登場するクッカイとサンディーはヒラサワお気に入りのSP-2の名前です。
ヒラサワはタイへの興味を失い、楽曲からはあれだけ色濃く漂っていたタイの雰囲気も今では綺麗さっぱりと消えてしまっています。
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