概要
父の死により莫大な遺産を相続した女子高生の一華。その遺産を狙い、一族は彼女を事故に見せかけ殺害しようと試みる。一華が唯一信頼する使用人の橋田は、命を救うためにある人物を雇った。それは事件が起こる前にトリックを看破、犯人(未遂)を特定してしまう究極の探偵!
完全犯罪かと思われた計画はなぜ露見した!? 史上最速で事件を解決、探偵が「人を殺させない」ミステリ誕生!
Amazonより引用
史上最速で事件が解決する倒叙ミステリー
倒叙もの(読者には最初から犯人とトリックが分かっている状態。読者は探偵がどんな方法を使って犯人を追い詰めるのかを楽しむスタイル)のミステリー小説です。
このスタイルのミステリーは古畑任三郎が一番有名だと思います。
倒叙物のミステリーというだけで既に面白そうなのに、この小説の探偵は事件発生前に証拠を揃えてトリックを看破してしまいます。
シャーロックホームズが依頼人の姿だけを見て職業や依頼の内容を当てるお馴染みのくだりがありますけど、あれのもっとすごいやつですね。
まさに、【探偵が早すぎる】というわけです。
ガッツリしてないライト推理小説
上下巻に別れてますが、短編集です。
全編を貫く大きなストーリーはあるんですけれども、短編集なので話の結末を人質に面白くないのに最後まで読まされるみたいなことはありません。
面白くなければ上巻で切ることも出来ます。
登場キャラクターはライトノベルみたいに濃いキャラが揃っていて、文章もすごくテンポが良い。
久しぶりに何か小説を読みたいけどガッツリしたのは求めてない……みたいな人にまず勧めたいですね。
ミステリーの論理性を超重視する人には向いてないかも
一応ミステリーなんですけど、論理的な整合性はストーリーの面白さのために、ちょっと犠牲になっています。
僕はミステリーってそれっぽい納得性とストーリーの面白さがあれば全然オッケーなんですけども。
本格的なミステリーを求める人は同じ作者のその可能性はすでに考えたが良さそう。
こっちはミステリーの論理パズル部分を極限にまで煮詰めた小説です。
読む小説を探している人がいたら、しばらくは「探偵が早すぎる」を勧める予定です。
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