化物語といえば言わずと知れた西尾維新の代表作。アニオタと言えば当然化物語は見てるっしょ!!みたいな時代が僕の大学生の頃にあったように思います。僕はというと西尾維新はたまたま読んだ1冊が肌に合わなかったので二度とこいつの本は読まないと思い、そのブームに乗り切れなかったのですが、この度ついに意を決して読んでみることにしました。
DMMブックスだと期間限定ですが実質半額で買えます。(8/26まで)
あらすじ
阿良々木暦を目がけて空から降ってきた女の子・戦場ヶ原ひたぎには、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかった――!?
台湾から現れた新人イラストレーター、“光の魔術師”ことVOFANと新たにコンビを組み、あの西尾維新が満を持して放つ、これぞ現代の怪異!
青春に、おかしなことはつきものだ!
Amazonより引用
西尾維新の言葉遊びが相変わらず鼻につく!!
僕が読んで肌に合わなかった1冊というのが西尾維新のデビュー作、クビキリサイクル。まあ僕はこれが嫌いで嫌いで仕方なかったので化物語は食わず嫌いならぬ読まず嫌いをしていました。
僕がクビキリサイクルを嫌いな理由の一つが、上手いとも面白いとも思わない西尾節が小説の中にいっぱい散りばめられていたからなんですよね。
化物語の言葉遊びも相変わらず面白いと思えないのですが、クビキリサイクルのときと違って、言葉遊びをする箇所をギュッと絞ってるので、幾分か読みやすかったです。物語の根幹にも言葉遊びが関わっていて、とりあえずダジャレを並べているだけだったクビキリサイクルのときと比べると使い方が洗練されています。
少なくとも今回収録されている2編、ひたぎクラブとまよいマイマイに関しては言葉が上手く使われていました。
ひたぎクラブ
記念すべき第一話。クビキリサイクルの影に怯えながら読み始めたのですが、西尾維新なのに地の文があっさりとしていて驚きました。会話文はキャラじゃなくて作者が喋っているようなあざとさが見えてやはり苦手。
ストーリーをざっくりと言ってしまうと「想いと引き換えに重さを失った少女が自分が過去から逃げていたことを自覚して重さを取り戻す」と文字にすると上手いんだか寒いんだかわかんない話です。とはいえ、言葉遊びが物語の核になっているのは西尾維新らしくて良かったです。
一応、時系列を錯誤させる叙述トリックのようなものがあったんですけれども、僕からすると「そんなこと気にもしなかったわ」というレベルの話なので入れなくても良かったんじゃないかなーという印象。まだ1話ということもあってちょっと手探り気味にも見えました。
まよいマイマイ
登場人物や怪異がパズルのように配置されていて、あとがきで「当時は脱ミステリーを目指して藻掻いていた」と書いた割には良い意味でミステリー的な作り方がされている話です。
今回も叙述トリックのようなものが仕掛けられているんですけれどもひたぎクラブに引き続いて、これもあまり上手くありません。
ただ、「何故そのような状況にならざるを得なかったのか」という部分に意外性があったのと、そのトリックが1話で解決しきれなかった戦場ヶ原ひたぎの人間不信問題の決着に結びついているのが面白かったです。僕はトリックがストーリーと上手く結びついているだけで自動的に100点あげちゃう生き物なので、当然まよいマイマイも100点です。もちろん、言葉遊びパートが長い分だけ多少の減点はありますが。
また、1話ではほとんど触れられなかった主人公の阿良々木暦が何に悩んでいて、どういう人間なのかという部分もはっきりとしてきて、全体的に話の厚みが増しています。
全体的に話の作り方が好みで、良い意味で驚かされています。
引き続き中巻(するがモンキー・なでこスネイク)を読んでいきます。
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