「努力」という言葉には「血反吐を吐きながら無理難題を量で解決する」という裏の意味が副音声として存在しがちなんですけれども、この本ではそれを「99%の努力」と呼んで目指すことを否定しています。まあ、世の中には血反吐を吐いた程度じゃ解決することが出来ない問題が多いわけですよ。ソマリアに生まれたとか。
それよりも創意工夫や考え方だけで楽なポジションを手に入れようというのが「1%の努力」という言葉の意味です。
概要
2000年代に「2ちゃんねる」「ニコニコ動画」を成功させ、今は英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人をしつつ、パリで余生のような暮らしを送るネット界の超有名人・ひろゆき。
その「謎の生い立ち」に焦点を合わせ、人生において「どこ」が頑張りどころだったのか、ターニングポイントでどんな判断をしてきたのか。その「考え方の考え方」の部分を掘り下げる。たとえば、テスト用紙が配られたら上から順番に解くのではなく、全体を眺めてできそうなところから解く。そんなふうに、一歩引いて頑張りどころを見つけるような「努力しないための努力」(=1%の努力)の話を、印象的な7つのエピソードをもとに、時系列でまとめた。
Amazonより引用
人を優しく絶望させる本
「1%の努力」というタイトルでラベリングされてるから気付かないだけで、この本を受け入れるために必要な前提条件は結構残酷です。
それは才能の差を認めるということです。
「歌手の子供は歌が上手い」という世界観を採用することに違和感を覚える人はいないと思うのですが、それは同時に「音痴の子供は当然のように音痴である」という「負の要因も遺伝する」という世界観を受け入れることでもあります。
僕らはついつい「努力すれば才能を凌駕出来る」などと思いがちなのですが、残念ながら「負の要因の遺伝」は科学的には正しいこととされています。
このインターネット全盛の時代では才能のある人は隠れることすら難しい。今、人から大きな評価をされてない僕やあなたは残念ながら才能のない側の人間であることを受け入れないといけないのです。
まあ、ここまではっきりと書いてあるわけではないのですが、書いてあることを僕なりに嚙み砕くとだいたいこんな内容になります。
読者とこのような前提を共有したうえで、才能の無い人向けのコスパの良い生き方と戦略が書いてあるのがこの本の特徴です。
1%の努力の努力を怠らずに出来ているか
たとえば筆者のひろゆきといえば論破王というイメージとは別に、やたらと博識なイメージがありますが、これは予測不能なものにだけお金を払うというルールと気になったことはネットで徹底的に調べつくすという「1%の努力」で出来るレベルのルールの掛け合わせによって培われたものです。まあ、これらの行為がコスパが良いというのはちょっと考えればわかるとは思うのですが、僕も含めて案外出来ないものです。
もちろん人によっては調べることが苦痛だという人もいると思うのですが、本の中には様々な考え方が書かれているので、どれか一個ぐらいは引っかかるんじゃないでしょうか。持論ですが、本は一個でも参考になる箇所が見つかれば儲けものだと思っています。
ひろゆき汚染が進んでいると新鮮味は薄いかも
まあ、悪い本ではないと思うのですが、話のまとまりが悪いせいで読み終わったあとに「結局何の話だったっけ」となりがちなことと、Youtubeの切り抜き動画で聞いたような話がまあまあ混ざっているので新鮮味が乏しい箇所があることが欠点です。特に最近、僕のYoutubeのおすすめ欄はひろゆき汚染が進んでいるので、ひろゆきの考え方に触れる機会が自然と増えてきてるんですよね。
あと、この本を書いてる人間は節約のために学校の40人クラスで39人のクラスメイトからお弁当のおかずを一品ずつ分け与えてもらうことで一番豪華なお弁当を作ることが出来るほどの逸脱した人間なので、その人間が語る価値観が根本的に合わないとかもありそうです。こればっかりは買ってみないとわからない部分ではありますが。
まだひろゆき汚染が浅い人、あるいは意識的にひろゆきの情報を探している人にはオススメです。
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