自分の読書体験の中で最も衝撃的だった小説は綾辻行人の暗黒館の殺人だったのですが、それに勝るとも劣らない衝撃を受けたのが同じ綾辻行人のAnotherでした。
ホラーとしてもミステリーとしても高い完成度たるや。最後の最後に明かされる大トリックは圧巻の一言です。
そんなAnotherの続編が近いうちに出るということなので、おさらいがてら各メディアのAnotherを振り返っていきます。
新長編『Another 2001』の書影、初公開。
来たる9月30日、KADOKAWAより発売予定です。
お近くの書店や各WEB書店にて予約受付中、でございます。 pic.twitter.com/tK873G5aPt— 綾辻行人 (@ayatsujiyukito) August 17, 2020
各Anotherに共通するあらすじは以下の通りです。
あらすじ
1998年、春。父の不在や自身の病気療養のため、母の実家に身を寄せ夜見山北中学校に転入してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。彼は、クラスメイトで不思議な存在感を放つ少女・見崎鳴に惹かれる。だがクラスメイトの反応から、彼女は恒一には見えて、他のクラスメイトには見えていないのでは無いかと感じる。そんなある日、あるクラスメイトが凄惨な死を遂げ、三年三組が直面している現実を知らされるのであった。
原作版Another
文庫本で上下巻発売されています。ハードカバー版もありますけれども、百科事典のような分厚さなので特に理由も無ければ文庫版で良いんじゃないでしょうか。
綾辻先生の文体は読みやすいので普段小説はあまり読まないタイプの人にも是非手に取ってみてほしいです。決して文章が軽いわけじゃないんですけれども、入ってくる情報の量がちょうどよくてあっという間に読めます。
原作版は漫画版・アニメ版と比べると展開の派手さは無いのですが、文章でしか味わえない伏線の妙味があります。
漫画版Another
表紙絵、美しいですよねえ……。
原作よりも登場人物が魅力的に描かれています。また、原作だと死ぬためだけに生まれたようなキャラが結構多いんですけれども、漫画版では彼らにも個性付けがされているので、キャラが死ぬとちゃんと悲しくなります。
それでいてAnotherの”要”となる部分は一切外していないので、かなりの良コミカライズです。原作未読の人はもちろんのこと、原作を読んだ人も楽しめるようになっています。巻数も少なめなので手を出しやすいのも◎。
※原作版とは微妙に結末が異なるためAnother2001とは齟齬が生じてます。
アニメ版Another
「Anotherなら死んでた」という流行語を生みだした作品です。漫画版では主要人物に個性付けした程度の脚色で済んでいたのが、アニメ版ではクラスメイト全員に名前と設定が追加されました。
原作には無かった水着回もあるし、後半にはアニメらしい派手なアクションもあります。個人的にはアクションが派手すぎてバカっぽいと思ったんですけれども、Anotherはアニメ版が至高と言う人もいるので、どうにも好みの問題のようです。ちなみにOPはアリプロです。
原作とは細かい箇所で差はあれど、そのままAnother2001に入っても問題無かったはず。
実写版Another
見ちゃダメです。
僕が思うAnother最大の見せ場は、作品に仕掛けられたミステリー的なトリックが明らかになった瞬間なんですけれども、実写版だとそのトリックが冒頭でネタバレされてしまいます。客層に合わせて複雑なミステリー要素を排除したんでしょうけれども、ミステリー要素の無いAnotherに何の価値が……。
最初に触れたAnotherがこれだとただただ不幸になるだけです。
Anotherには『エピソードS』という番外編もあるので、本編を読み終わった人はこちらもどうぞ。
エピソードSには新作のAnother2001に繋がる要素もあるそうなので、僕も読み直そうと思ってます。
追記:読み直しました
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