設定や文体で読者を惹きつける綾辻行人らしさはあるものの、仕掛けられた大トリックに無理があります。
あらすじ(amazonよりコピペ)
聞かせてあげようか。あなたの知らなかった、この夏のお話。異能の美少女・見崎鳴は語りはじめる。1998年、夏休み。かつて夜見山北中学の三年三組で〈現象〉を経験した青年に会うため、〈湖畔の屋敷〉を訪れた時のことを。鳴が遭遇したのは、三ヵ月前に謎の死を遂げた青年の幽霊、だった。行方の分からない自分の死体を探す幽霊と鳴の、謎めいた冒険の結末は――!?
Anotherの続編とも言えるし、スピンオフとも言える一冊。様々なメディアミックスの鳴人気に影響されたのか、前作よりも見崎鳴の仕草が可愛らしく描かれている、ような気がします。榊原くんと鳴ちゃんのどこかチグハグなやりとりは読んでいて癒やされます。
Anotherの世界観を楽しみたい人や綾辻行人の感性で書かれた文章が好きな人にはオススメです。具体的には、霧越邸殺人事件とか暗黒館の殺人とか、ああいうのが好きな人向け。トリックがちょっと不可能……というか不自然なのでミステリーを期待していると「なんじゃこりゃ」としか言いようがないです。
なので、読んだ記憶を綺麗に抹消していたんですけれども、綾辻御大がこんなことを言い出すもんだから、読み直しました。
『2001』の主人公は『エピソードS』に登場した想くん、14歳。見崎鳴ももちろん、活躍します。 https://t.co/3qUUHWhFsc
— 綾辻行人 (@ayatsujiyukito) August 18, 2020
読み終わった当時はガッカリ感で脱力したものの、今そのガッカリ感を覚悟して読むとトリックも含めて「案外Anotherらしくて良いじゃないか」とも思える一冊でした。
今なら文庫版も出てて安いので買っても良いんじゃないでしょうか。トリックがアレなだけで番外編としては十分に楽しめる出来だと思います。
Another2001は頼みますよ綾辻先生!!!
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