物語を面白くするためにハルヒの知能が崩壊している:涼宮ハルヒの溜息 /谷川流 感想【読書記録】

ライトノベル
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ハルヒってこんなバカだっけ……? 

 

 

涼宮ハルヒの溜息 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)

 

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あらすじ

宇宙人未来人超能力者と一緒に遊ぶのが目的という、正体不明な謎の団体SOS団を率いる涼宮ハルヒの目下の関心事は文化祭が楽しくないことらしい。行事を楽しくしたい心意気は大いに結構だが、なにも俺たちが映画を撮らなくてもいいんじゃないか?ハルヒが何かを言い出すたびに、周りの宇宙人未来人超能力者が苦労するんだけどな―

スニーカー大賞“大賞”を受賞したビミョーに非日常系学園ストーリー、圧倒的人気で第2弾登場。

 

Amazonより引用

 

 

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感想 

キョンの言い回しの面白さはパワーアップしている

涼宮ハルヒシリーズといえば、知性を感じてちょっと笑える言い回し。2巻ではそれが更に磨きがかかっています。

「ちょっと! 邪魔しないでよ!」

 邪魔も何も、熱湯を頭からぶっかけられようとしているのに黙って突っ立っている奴がいたらそいつはよほどのお人好しか保険金詐欺師だ。

 俺は立ったままハルヒの淹れた緑茶を飲んで、どうして同じ茶葉なのに朝比奈さんの注いでくれたものとこうも味が違うのかと考えた。考えるまでもない。愛情という名のスパイスの差だな。朝比奈さんが野に咲く白バラなんだとしたら、こいつは花を咲かせずトゲしかない特殊なバラだ。当然、実を付けることもないだろう。

 

涼宮ハルヒの溜息より引用

場面によってはちょっと冗長だなと思う箇所もあるんですけど、個人的にはまあ許容範囲内です。

 

物語の都合上、『憂鬱』は無かったことにせざるをえない

前作『涼宮ハルヒの憂鬱』のラストで、ハルヒの内面的な問題は解決されたはず……だったのですが、今回の冒頭でそれが半ば無かったことになってます。

ハルヒが超常現象に興味を無くしてしまったら話が終わってしまうので、そうなるのは仕方ないんですけれどもね。 

 

ハルヒの知能崩壊

そんなことよりもハルヒの頭が超絶悪くなってるのが問題です。

前作では『ちょっと行動力のある女子高生』ぐらいだったのが、今作のハルヒは『バカ女』と呼ばれても仕方がないレベルで頭脳が劣化しています。ハルヒがバカじゃないと物語が進まないので、これも仕方がないんですけども。

1作目のハルヒと、『溜息』のハルヒを同一人物だと思ってはいけません。溜息のハルヒはハルヒZとかハルヒ超などと呼称するのが相応しい別個体です。

 

良くも悪くも今後のハルヒシリーズの方向性を決定づけた巻

『溜息』ではハルヒをシリーズ化をするにあたって、『憂鬱』で顔見せ程度の出番しかなかった他のSOS団キャラの掘り下げが主に行われています。

長門の無口万能キャラ、みくるの受難キャラ、古泉の解説キャラ(ついでにハルヒの支離滅裂キャラ)といった性格的な属性付けはこの巻で確立されたもののようです。

 

今後に向けた伏線のばらまきもかなりされているので、ハルヒシリーズを追いかけていくなら読むのは必須の巻ではありますが、合う合わないが結構別れそうな一冊。

僕はこの巻のオチはなかなかアクロバティックで好きです。

 

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