これは想定外の傑作ラノベ。
あらすじ
ともに行くのは笑顔が似合う死者の少女――。
これは終末の世界で始まる、夜の旅路の物語。全世界を襲ったゾンビパンデミックから5年後――、人類はほぼ全滅していた。
荒廃した東京をひとりさすらう少年ユキトはある日、「死ぬまでにやりたい10のこと」のため北海道を目指し旅をしている少女エコと出会う。いつも笑顔で明るい彼女だが、その正体は他に例のない“ゾンビ化していないゾンビ”だった。
彼女の死を見届けるため、人類の敵とふたり旅に出ることにしたユキト。決意を胸に、朝日とともにいざ出発しようとするとエコがかわいく抗議の声を上げた。
「ゆっくんは、デリカシーがないなあ。支度はすぐだけど、昼間は出たくないの」
尖った口先が、つまらなそうに続ける。
「腐っちゃうから」
Amazonより引用
今年読んだ中でも指折りの面白さかもしれない
めちゃくちゃ面白かったですね。
今年に入ってかなりペースを上げて小説を読んでいきましたけれども、その中でも間違いなく上位に食い込む傑作です。
読んでる時間の1/3ぐらいは半泣きだったと思います。
ボーイ・ミーツ・ゾンビガール
一応、”ガワ”はゾンビ物ですが、スプラッタシーンはほとんどありません。
両親をゾンビに殺されて当てもなく彷徨う17歳の少年・ユキトが、意識を持ったままゾンビになってしまった少女・エコと出会い、文明が滅びつつある日本を旅しながら彼女の『死ぬまでにやりたい10のこと』をひとつずつ消化していく話です。
全ての登場人物に悲しい影が。
ゾンビにより文明は滅ぼされ、誰もが死んだように生きているこの世界では、どんなに明るく見える住民も必ずどこかに暗い影を忍ばせています。
死んだ妻を土に埋める人の良い中年男性、生き別れた娘を待ち続ける明るいおばちゃん。数ページしか出番のないキャラですらも、寂しさや悲しさが漂っています。
作中随一のムードメーカーであるヒロインのエコですら、ゾンビ化という逃れようのない死の運命がところどころで見え隠れします。
でも、ちゃんと”ライトノベル”してる!良い意味で!!
ラノベの定義が何かと言うことは置いときますけれども、この小説、扱っているテーマは重いのにそれをほとんど感じさせないぐらいちゃんと”ライト”なんです。
女の子は可愛いし、クスッと笑える場面はたくさんあるし、王道的にアツくなれる場面も多い。
本当に良い小説なんで、ネットフリックスあたりが2時間アニメ化してくれるのを祈っています。
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