中学生から高校生ぐらいの時期に水樹奈々のラジオをよく聞いていました。
アイドル声優寄りの人なのに罰ゲームでひどいことをスタッフにやらされていてだいぶ気合の入った人だなと思っていた記憶があります。
と、そんな感じでファンとまでは行かなくても、彼女の人となりはある程度知っていたのもあって楽しく読めました。
全国の学校から「進路に悩んでいる生徒に深愛を読ませたい」という声が届いたというのも納得出来るぐらいの面白い本なのでファンじゃない人にも普通にオススメです。
水樹奈々のことを少しでも知っている人なら是非。
概要
父に託された演歌歌手への夢を胸に15歳で単身上京、憧れの堀越高校芸能コースへ入学。未来は明るいと信じていた。だが、東京では厳しい現実が。決まらないデビュー、食事にすら事欠く生活、さらに最愛の父が病に倒れて…。どんなに苦しくても笑われても、私は夢を信じ続けていた―。熱狂的な支持を受ける水樹奈々が全てを綴る、感動の自叙伝!
Amazonより引用
水樹奈々が書きたいことを書ききった自著伝
”水樹奈々”というアーティストがどのようにして完成したのかを赤裸々に書いた自著伝です。
自分のアーティスト人生を綴ったかと思えば、声優としての心構えを書いたりと、ちょっと脈絡が無い部分もあるのですが、これは声優活動もアーティスト活動も水樹奈々にとって同じぐらい大事な事象で、ちょっと本の内容がブレても読んでいる人にどうしても伝えたかったことなんだなと受け止めました。
自分の努力を強調するわけでもなく、苦労話を自慢げに披露するわけでもなく、そのときの自分の感じたことを自分の言葉で書き綴っている良い本でした。
周囲に振り回されまくりな下積み時代
今でこそ売れっ子の水樹奈々ですが、幼い頃から自分の意志とは関係なく父の夢だった演歌歌手を目指すことになってしまい、効果があるかどうか分からない自己流の謎ボイストレーニングを受けさせられ、上京したと思ったら変なボイストレーナーの先生と一緒に生活することになり、と売れる前までは周囲に振り回されまくりだったみたいなんですよね。
この人はそういった苦労を全部アイディアや工夫で乗り切るとかいうカリスマ的な方法じゃなくて、ひたすら目の前の出来事に集中することで一個ずつ乗り切っているんですよね。
その彼女の応援したくなるような地道さが、この本の最後の大感動に繋がっているんじゃないかなと思いました。
貧乏すぎたからだと思うんだけど、飯に感動した話がやたら多い
僕、この本は絶対ゴーストライターが書いてないと思うんですよね。
だって飯についての文章に気持ちが入りすぎてるから。
水樹奈々は実家暮らしの時代から売れるまでの間はマジで貧乏だったらしいんですけれども、実家の愛媛から東京遠征に行ったときに食った金ちゃんラーメンが美味かっただの、学食に売ってる弁当が高いけど美味そうだのと、とにかく貧乏過ぎたが故に飯についての話が多くてめちゃくちゃ微笑ましかったです。
ゴーストライターが書く文章ってもうちょっと綺麗で構成もちゃんとしてると思うんですけれども、この本はプロが書いた割にはバランスが変なんでこれは流石に本人が書いたんだろうなと。
個人的には恐らく水樹奈々の大事な部分を担っているであろう福圓美里とのラジオの話も聞いてみたかった気はするのですが、それでも十二分に面白い本です。
ちなみに本のタイトルの『深愛』は同名の曲から来ているらしいんです。
読み終わった後に聞くとすごく感動しました。
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