今回のハルヒも短編集です。
やはり『憂鬱』『消失』で語るべきことを語りつくしてしまった感があるのか、全体的にちょっと低空飛行気味の一冊。
伏線を回収したり次の長編の為の伏線をばらまいたりと、構成上必要なことはやっているけれども、そっちに一生懸命になりすぎている印象です。
文章の切れ味は相変わらずなので「なんだこれは!つまらないぞ!!」と怒るほどでも無いのですが、中の中~中の下ぐらいのクオリティの話が続きます。
涼宮ハルヒの動揺 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
【目次】
あらすじ
幻にしておきたかった自主映画だとか突然のヒトメボレ告白、雪山で上演された古泉渾身の推理劇や朝比奈さんとの秘密のデート。SOS団を巻き込んで起こる面白イベントを気持ちいいくらいに楽しんでいる涼宮ハルヒが動揺なぞしてる姿は想像できないだろうが、文化祭のハプニングであいつが心を揺らめかせていたのは確かなことで、それは俺だけが知っているハルヒの顔だったのかもな――。
お待ちかね「涼宮ハルヒ」シリーズ第6弾!
Amazonより引用
ライブアライブ
アニメではGod knowsが披露されたことでお馴染みの話。
ストーリー的にはお粗末としか言いようが無く、ハルヒ達が文化祭を楽しんだ後にいつものように古泉がラストでそれっぽい屁理屈を付けて申し訳程度のSF成分を加えるだけ。
作中でもキョンが「心理学用語で解説すれば何でもありだと思ってないか?」と突っ込んでいるあたり、このパターンを多用しすぎという自覚は作者にあるらしい。
ファンサービス的な短編であまり言うことが無い。
朝比奈ミクルの冒険 Episode00
アニメ版ハルヒの1話に当たる話。
『溜息』で作った映画をキョンがナレーション的に解説をするだけの話。
如何に内容が支離滅裂であるかが分かりやすく解説してあってまあまあ笑いました。
ヒトメボレLOVER
消失以後の話。
ここまでハルヒシリーズでは意図的に恋愛要素を排除していたように見えたんですけれども、この話からはキョンに女性の影を感じたヒロインたちがあからさまに焼きもちを焼き始めます。
『憂鬱』と『消失』で語るべきことは語りつくしてしまったんで、新しい展開を生み出そうと作者が四苦八苦しているのが見える……
猫はどこに行った?
古泉のミステリー好きという設定を活かした一作なんですけれども、ハルヒのキャラを使ってわざわざやる話でも無くて読んでいて眠気が。
ロジックで固めたパズル系のミステリーは、提示される謎が魅力的じゃないとどうにもなあ……
ハルヒのミステリー短編はどうも切れ味が鈍いのですが、その印象は『直観』で挽回してくれます。
朝比奈みくるの憂鬱
露骨な伏線ばらまき回。
キョンの朝比奈さんを褒め称える言葉のレパートリーが未だに尽きないのは驚嘆に値する。
この回でも普通のラノベみたいにヒロインが焼きもちを焼く展開がばらまかれてるので、今後の話で使うんですかね。
全体的に「次巻に期待」と言いたくなるような話が多かったです
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