プログラムの才能は誰よりもあったけれども世間知らずでちょっと暴走癖のあるWinny開発者の金子勇や、吉本新喜劇ばりの妙な理屈で言いがかりを付けてくる検察や警察に対して、筆者でもあり「Winny事件」で金子氏の弁護人を務めた壇俊光氏がそれに振り回されたり怒ったり呆れたりする奮闘記です。
概要では小説と銘打たれているのですが、そんな堅苦しいものではなくて、2ちゃんねるに投下された体験レポみたいな軽い文体で書かれています。
とても面白かったです。
この本はAmazonPrimeに入会する、あるいは書籍読み放題のKindle unlimitedを使えば、初月無料で読みまくれます。(記事投下時点)
概要
インターネット上のビジネスに欠かせないP2P(ピア・ツー・ピア)技術。その可能性を開拓した「Winny」の開発者・金子勇は、2004年、「著作権法違反幇助」の疑いで逮捕・起訴され、無罪判決が確定するまでに7年半もの年月がかかりました。
本書は、「Winny事件」弁護団の事務局長を務めた壇俊光氏が自身のブログを元に小説としてまとめたものです。日本のインターネット技術の発展に負の影響を残したと言われる裁判の経緯を追いながら、壇弁護士が見た金子氏の人物像、Winnyの核心を語ります。
推薦文は、2ちゃんねる開設者・ひろゆき氏から寄せられました。
Amazonより引用
こっちのサイトにより詳しいあらすじが載っています。
Winnyで日本はIT先進国に躍り出ることも出来たかもしれないんですけれどもね
我々一般人にとってWinnyとは「なんか著作権侵害をする悪いソフト」という認識だったと思うのですが、詳しい人に言わせると日本のIT技術を世界トップレベルにまで引き上げる可能性のあったすごいソフトだったそうです。
実際、2ちゃんねる開設者のひろゆき氏からこのような言葉が寄せられています。
LINEでの動画共有とかビットコインなどの仮想通貨とか、P2Pといわれる技術が使われています。その最先端がWinnyでした。金子さんがいれば、日本で発展した技術が世界で使われて、世界中からお金が入ってくるみたいな世の中にできたかもしれなかったんですけどね。
ひろゆき 2ちゃんねる開設者
壇俊光.Winny天才プログラマー金子勇との7年半(NextPublishing)(Kindleの位置No.5-8).インプレスR&D.Kindle版.
この小説の中でもWinnyがいかに可能性があったソフトだったかという話は幾度となく出てきます。
日本の司法、何とかしてくれ
前に読んだ本の影響もあって司法に良い印象が無かったんですけれども、この本を読んでそれが加速しました。
この本、出てくる司法側の人間が全員珍妙な理屈を振り回してるんですよね。
もしこれが完全フィクションの小説であれば、「サイバー犯罪対策課でお馴染みの京都府警がこんな馬鹿なわけがない。妄想も大概にしろ」と言って叩かれてると思うんですけれども、残念ながら実話を元にして書かれてるんですよねこれ。
弁護側の意見を認めるときに、あからさまに不機嫌になる裁判官の描写を見て、この国の司法は本当に結論ありきで進んでいるんだなと残念な気持ちになりました。
日本の司法制度は中世から進歩していないということはよく言われている話なのですが、今後10年以内に何か大きく改善されてほしいもんです。
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