クソラノベかと思いきや流石は本格-ミステリ大賞なだけある。
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あらすじ
巨大な鉄骨を手に街を徘徊するアイドルの都市伝説、鋼人七瀬。人の身ながら、妖怪からもめ事の仲裁や解決を頼まれる『知恵の神』となった岩永琴子と、とある妖怪の肉を食べたことにより、異能の力を手に入れた大学生の九郎が、この怪異に立ち向かう。その方法とは、合理的な虚構の推理で都市伝説を滅する荒技で!?
驚きたければこれを読め―本格ミステリ大賞受賞の傑作推理!
Amazonより引用
都市伝説にもっともらしい理屈を付ける、新感覚ミステリー
アニメ的なキャラがアニメ的なセリフのやり取りをするだけで前半3分の1が終わってしまって「推理要素どこやねん」ってなってたんですけれども、流石は本格ミステリ大賞受賞作。なかなか変化球気味ではあるように思いますが、納得感があって面白かったです。
この小説を簡単に言うと、「鋼人七瀬」という都市伝説上のキャラクターが暴れて事件を起こすんですけれども、それを「やっぱりあの都市伝説は本当だったんだ!」と思われてしまったら作中の色々な事情があってあまり良くないんですよね。
だから「知恵の神」こと岩永琴子が、みんなにそれを実在の事件と思ってもらえるように合理的な説明をしないといけなくなるという話です。
敵は「鋼人七瀬」とまとめサイト読者
この「鋼人七瀬」が厄介で、死んだはずの超巨乳アイドルが鉄骨を振り回しながら人に襲いかかるっていう無茶苦茶な設定の化け物に対して現実味のある解決法を考えるという時点でもうだいぶ無理ゲーじゃないですか。
更にこいつには目撃証言があるうえに、まとめサイトが作られるぐらい有名になってしまってるんですよね。
つまり、探偵はネット上のまとめサイトの読者にも鋼人七瀬が架空のキャラであることを納得させないといけないんですよ。
いよいよ解決編というところで、「それで誰が納得するねん」みたいな解決をドヤ顔で探偵役が披露し始めたときには、このブログでどうやって叩いてやろうかと思ったほどですが、最後まで読むと完全に手のひらで踊らされていただけでした。
いやはやお見事お見事。
本格ミステリ大賞を受賞しているだけはある
「どう考えても妖怪の仕業でしかないものを、現実的な解釈で落ち着ける」と聞くと、京極夏彦の京極堂シリーズを思い浮かべる人もいると思います。
僕は京極堂シリーズって魍魎の匣しか読んでないんですけれども、あっちはミステリーじゃないから「作中人物が納得してるならそれでいいよね」って感じで終わるのに対して、虚構推理はミステリーとして作られているので、もっと現実的な落とし所を提示してくれます。
妖怪も出るし、主人公の助手もチート気味の特殊能力持ちなんですけれども、あくまでそれは物語の補助的な役割で、作中で繰り広げられる「本格ミステリ」部分は決して損なわれることはありません。
そもそも「本格ミステリ大賞」ってちゃんとミステリーじゃないと受賞出来ませんしね。
面白かったのでセール中に是非。
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