概要
21歳・現役女子大生ライターが送る、衝撃のデビュー作!
歌舞伎町に誕生した「ぴえん系女子」、「トー横キッズ」、「自殺カルチャー」、「新世代ホスト」、「SNS洗脳」……etc、なぜ未成年たちは深い闇に落ちてしまうのか――。そのリアルを著者自身の実体験と寄り添う取材で書き上げた現代若者論。巻末には『闇金ウシジマくん』『九条の大罪』の真鍋昌平氏との対談も実現。混迷な時代を生きる”ぴえん”な若者たちのリアルを刮目せよ!
奥深すぎる”ぴえん”の世界
僕はおっさんで尚且つオタクなので”ぴえん”という言葉は友達のおっさんを小ばかにするときにしか使わないのですが、今の若い子の間では”ぴえん”という言葉はそれなりに日常的に使われている様子。
この本によると”ぴえん”の意味は多種多様で
- 「それはマジぴえん(悲しい)だね~」
- 「この前、黒髪のぴえん(幼い感じの女の子)が~」
- 「アパ前でぴえん(泥酔した若い女)がシャンパン抱いて転がっていて~」
と、同じ言葉でも前後の文脈で意味が大きく違ってくるようです。
“ヤバい”とか“エモい”と似てますね。
それがいつの間にかメンヘラが「死にたい。ぴえん」などと使い始めたことがきっかけで、徐々にメンヘラ御用達の専門用語みたいになっていったそう。
また、”ぴえん”という言葉はファッション用語としても使われるようになっています。
以下は「ぴえん系メイク」というタイトルで配布されているフリー素材の女性モデル。
この本は”最近の若者”の中でも、更にニッチな人々、歌舞伎町界隈に多く存在すると言われる“ぴえん系”と呼ばれる若者の生態についてまとめられた本です。
この本に書かれた”ぴえん系”の特色をめちゃくちゃ乱暴にまとめると承認欲求高めでぴえん系のファッションを好む若いメンヘラのことを指すようです。
キャラ付けのために自らを傷つけるぴえん達
ぴえん系と呼ばれる若者たちの奥底には強い”承認欲求”あるいは”個性への強い渇望”が横たわっていることが、この本で指摘されています。
僕は「個性を大切にしろ」という主張を聞きながら学校教育を受けてきた世代なのですが、今はネットを見ればすぐに上位互換が見つかる時代です。
いくらクラスで一番可愛くても、SNSを探せばもっとキラキラして可愛い子が見つかってしまいますよね。SNSでは特に”いいね!”の数値でそいつのスゴさが可視化されてしまいますからねえ。
そんな人たちと比べてしまって、活かすべき個性なんて持ち合わせてないと思っている人の方が多いのではないでしょうか。
無い個性を探したうえで見つかったものが、自殺配信やリストカット写真のSNSアップ、ホストへの過剰な推しといった手軽なキャラ付けなのではないかと本の中では分析してあります。
無個性な人間が手軽なキャラ付けのために過激なことや、よく分かんないことを始めるのは我々格ゲー業界でもよく見かける現象なので、深く頷きながら読みました。
SNSネイティブだからこそ広告に毒されやすい
SNS広告は、見ているユーザーごとに刺さりやすい物を個別に配信します。
それを物心付いたときから浴び続けた”ぴえん”達は、価値観が企業の都合の良いように育まれることになります。
広告によって価値観が歪むこと自体はテレビでも起こるので何も思わないのですが、SNS広告の場合、パパ活を推奨するような広告や、整形の広告が届くこともあります。
近年はSNS側もあまりに品のない広告には規制をかけるようになりましたが、それでは個人のインフルエンサーが自身のアカウントを使うパターンの広告や、企業が直接DMを送り付けるタイプの広告は防げません。
それらの毒々しい広告を見ることによって「高校卒業したらパパ活して推しに貢ぐ!」や「風俗に勤めて整形する!」といった価値観を疑うことなく植え付けられた若い子が排出されていっているようです。
ぴえん。
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