10年ぐらい前にDVDで見たときは僕が恋愛に疎いというか、人の心の機微にも疎かったのであまり面白くないと思ったんですけれども、今見ると、ときに大袈裟に、ときに繊細に悩む主人公の真琴の気持ちがよく分かってすごく面白かったです。
設定について真面目に突っ込んでいくとボロが出そうな雰囲気はあるものの、そういう映画でも無いですしねえ。そこをネチネチと突くのは野暮ってもんでしょ。
いやー、タイムリープという夢の力と恋愛関係という身近な問題を融合させた筒井康隆先生は偉い。
あらすじ
高校2年生の夏、真琴は、医学部志望の功介、春に転校してきた千昭という二人の同級生と楽しく毎日を過ごしていた。ある日、真琴は、故障した自転車で遭遇した踏切事故の瞬間、時間を跳躍する不思議な体験をする。叔母の芳山和子に相談すると、それはタイムリープといい、年ごろの少女によくあることだと言う。真琴は、手に入れたその力をツイてない日常のささいな不満や欲望の解消に使い始めるようになった。突然おとずれたバラ色の日々。ところがタイムリープできる回数には限度があった。千昭の真琴への突然の告白をなかったことにしようとしたり、功介と同級生の果穂の仲を取りもとうとしたりしたことで残りがついに1回に。そして千昭にタイムリープしているんじゃないかと指摘され動揺した真琴は、最後のタイムリープを使いきってしまう。
Amazonより引用
珍しく本職声優を採用せずに上手くいっているアニメ
真琴の動きの大袈裟っぷりはアニメ的なんですけれども、声優に本職のアニメ声優じゃなくて役者を起用してるのが珍しく良い方向に作用してましたね。演技が記号的じゃないおかげでそのアニメっぽさをいい感じに相殺してるんですよね。
動きにはアニメっぽさはあるんだけれども、声のおかげで程よく等身大の女子高生に見えるというか。この等身大の感覚があるからこそ、最後のタイムリープの大感動に一役買ってるのかなーと。
アニメに本職声優以外を起用することは賛否両論ありますけれども、このアニメは役者を起用したことがかなり上手く行っている稀有な例なのではないかと。千昭の声が肝心なポイントで滑舌が悪くなるのは「ん?」と思ったけれども、まあそこは許容範囲内。
観客の知性をもう少し信頼してほしい
唯一不満点があるとすれば泣けそうな場面で泣けそうな音楽が流れたこと。あまりに音楽があざとすぎて涙が引っ込みました。「ここで泣いてください!!」ってデカいテロップが画面いっぱいに表示されているような感覚。
せっかく子供には分からない微妙な心情をテーマにしてるのに、肝心なポイントで音楽が無いと泣けないような低IQ向けに演出の照準が合わせられていて萎えました。
まあ、多少の不満点はあるけれども、青春を失った今だからこそ見て面白かったアニメでした。
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